掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症とは
掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏に膿のたまった皮疹(膿疱)がたくさんできる病気です。周期的に良くなったり、悪くなったりを繰り返します。膿疱の中にある膿には細菌などの病原体はいないので、他の部位や他の人にうつることはありません。
掌蹠膿疱症の原因
金属アレルギーや病巣感染、喫煙が関わっていることがわかっていますが、原因不明の患者様も多いのが現状です。
- 金属アレルギー
- 金属アレルギーや虫歯の治療などで口の中に金属がある場合、それが掌蹠膿疱症の原因となることがあります。
- 病巣感染
- 体のどこかに細菌による慢性疾患があると、これが引き金となって、別の部位に別の病気が引き起こされることがあり、これを病巣感染(びょうそうかんせん)といいます。病巣感染の原因となる疾患(例えば、歯周病・扁桃腺炎・中耳炎・副鼻腔炎など)はあまり症状がないという場合もあり、本人も気づいていないうちに掌蹠膿疱症の原因になっているという可能性もあります。
- 喫煙
- 喫煙は、掌蹠膿疱症の直接の原因と特定はできていませんが、掌蹠膿疱症を悪化させる要因であるといわれています。
掌蹠膿疱症の症状
手のひらや足の裏に小さな水ぶくれ(水疱)ができ、次第に白色~黄色の膿がたまった膿疱に変化します。やがて、膿疱が乾いて茶色っぽいかさぶたになり、皮がはがれてきます。その後、また別の場所に新しい膿疱ができ、新しい膿疱と古い膿疱が混じった状態になります。
症状は様々で、痒みが出たり、ガザガザして赤みが出ることや手足の爪が分厚く、もろくなることもあります。
手足だけでなく、膝やスネなどに症状が出ることがあります。
また、関節や骨に炎症がおきて、痛みを伴うこともあり、特に首や胸、背中、腰などに症状がみられます。
掌蹠膿疱症の検査
- 1. 顕微鏡による真菌検査
- 水虫との区別のため、白癬菌の有無を判定します。
- 2. 金属アレルギー検査
- 金属アレルギーの有無をパッチテストにて調べます。
金属アレルギー検査 パッチテストとは?
背中などの正常な皮膚に、様々な金属の試薬を付けたフィルム(パッチテスター)を貼ります。 2日目に再診してもらい、パッチテスターを剥がします。その後、テスターの刺激反応が消えるまで30分待ち、結果を判定します。
治療
外用薬保険適用
- ビタミンD3外用薬
- 皮膚の過剰な細胞増殖や炎症などを抑制し、正常な皮膚に導く作用があります。
- ステロイド外用薬
- 炎症を抑える効果があります。ビタミンD3外用薬と比べ、さまざまな強さのものがあり、症状に合わせて最適な強さのステロイド外用薬を処方いたします。
- ステロイドとビタミンD3の複合剤
- ステロイドとビタミンD3の2つの成分を配合した外用薬です。ステロイド外用薬やビタミンD3外用薬を単独で使うよりも効果が高くなると言われています。
ステロイド外用薬の副作用について
ステロイド外用薬の副作用で皮膚に色素沈着が起こるのではと心配される方も多いですが、色素沈着はステロイド外用薬の副作用ではなく、皮膚の炎症が長く続いたことによるものです。
しかし、ステロイド外用薬を使用すると、皮膚が薄くなるなどの副作用が起こることがあります。当院では、患者様の状態に合わせてステロイド外用薬の強さを調整しています。また、ステロイド外用薬を使用することを不安に思われている方には、症状に合わせてステロイド以外のお薬を処方することも可能です。不安なこと、心配なことがございましたら、ご遠慮なくお尋ねください。
内服薬保険適用
- ビタミンA誘導体 チガソン
- 皮膚の新陳代謝を調節し、細胞が過剰に作られるのを抑制します。胎児に影響を与える恐れがあるため、内服中や内服を中止した後も男性は6ヵ月、女性は2年の避妊が必要です。
- 免疫抑制剤 ネオーラル
- 過剰に働いている免疫機能を抑制する内服薬です。副作用として血圧上昇や腎臓障害などが起こることがあり、定期的な血圧測定や血液検査が必要です。
紫外線治療保険適用
- エキシマ光線療法セラビーム
- エキシマ光線療法セラビームは、紫外線の一種であるUVBの中でも308㎚という波長のみに限定したものです。308㎚という波長は、効率よく皮膚に届くので従来の紫外線治療よりも効果が得られやすいと言われています。また、照射範囲を狭く限定的にしているので、手のひらや足のうらの症状のある部分にピンポイントで照射できることもメリットです。
- 生物学的製剤(トレムフィア)
- トレムフィアは、生物が作り出すたんぱく質を応用して作られた薬で、注射として使用します。掌蹠膿疱症の症状を引き起こすIL-23という物質の働きを抑えることで、掌蹠膿疱症の炎症を抑制する効果があります。外用薬や内服薬などの治療で十分な効果がみられない場合に、生物学的製剤の使用が検討されます。生物学的製剤による治療は、安全性を考慮し、治療が承認された医療機関でしか受けることができません。当院では、生物学的製剤による治療はできませんが、大学病院などの適切な医療機関をご紹介できますので、ご希望の際は医師にお尋ねください。
料金
掌蹠膿疱症の治療は、診察・診断・外用薬や内服薬の処方・紫外線治療、すべてに保険が適応されます。
Q&A
- Q.掌蹠膿疱症はすぐに治りますか?
- A.金属アレルギーなど原因がはっきりしている場合は、その原因を取り除くことで改善が見込めます。また、原因不明の場合にもきちんと治療を行えば改善が見込めますが、すぐに治るというものではなく、治癒には数年を要することもしばしばです。
- Q.他の人にうつしてしまうことはありますか?
- A.掌蹠膿疱症でできる水疱や膿胞には細菌や真菌(カビ)はいないので、他の人にうつることはありません。しかし、自分で水疱や膿胞を潰してしまうと、その部分から細菌が入って感染症を生じる危険性がありますので、むやみに触らないようにしましょう。
治療後のご注意
- ◎ 咽頭炎、扁桃炎、副鼻腔炎、虫歯などが悪化因子になっている場合はそれらの治療を進めてください。
- ◎ 喫煙は悪化因子になりますのでできる限り禁煙してください。長期間喫煙している方で禁煙することで症状が改善することがあります。
ご予約・お問い合わせ
掌蹠膿疱症の受診はご予約不要です。
ご不明な点があればお電話か予約フォームにてお問い合わせ下さい。