尋常性乾癬
尋常性乾癬とは
尋常性乾癬は、皮膚に赤い発疹や紅斑ができ、次第にその表面が銀白色の鱗屑(角質が厚くなったもの)で覆われ、やがてその鱗屑がフケのようにぼろぼろと剥がれ落ちる皮膚の病気です。体のどの部分にも生じますが、特にひじ・ひざ・頭皮などに症状が現れやすいと言われています。「かんせん」という名前から誤解されやすいですが、尋常性乾癬は他の人にうつる病気ではありません。
原因
尋常性乾癬の原因については、完全には解明されていませんが、免疫機能の異常が関わっていると考えられています。免疫異常をきたしやすい方に感染症、ストレスや乾燥などの刺激や糖尿病、肥満などが加わることで乾癬を発症すると考えられています。また、乾癬になりやすい体質は遺伝すると言われていますが、100%遺伝するわけではなく、遺伝した場合も全員が発症するわけではありません。
症状
最初は赤いぶつぶつができ、だんだん周りに拡大していきます。その後、表面が銀白色の鱗屑(角質が厚くなったもの)で覆われ、やがてその鱗屑が剥がれ落ちます。痒みの症状も見られることがあり、入浴後やアルコールを摂取したときなど体が温まると痒みが強くなることがあります。また、乾癬では症状が出ていない皮膚を擦ったりして刺激を与えると、その刺激をきっかけにして新しい発疹が現れることもあります。
治療
尋常性乾癬の治療には、外用薬・内服薬・紫外線治療などがあります。
当院では症状に合わせて、最適な治療を行います。
外用薬保険適用
- ステロイド外用薬
- 乾癬により活発になっている白血球の活動や血管の拡張を抑えることで炎症(痒み、赤み、腫れなど)を抑制する薬剤です。症状に応じて、最適な強さのステロイド外用薬を処方します。
- ビタミンD3外用薬
- ビタミンD3は、皮膚の細胞が過剰に作られるのを抑制し、正常な皮膚に導く作用があります。特にフケのようにぼろぼろと剥がれ落ちる鱗屑(角層が厚くなったもの)に効果があります。
- ステロイドとビタミンD3の複合剤
- ステロイドとビタミンD3の2つの成分を配合した外用薬です。ステロイド外用薬やビタミンD3外用薬を単独で使うよりも効果が高くなると言われています。
ステロイド外用薬の副作用について
ステロイド外用薬の副作用で皮膚に色素沈着が起こるのではと心配される方も多いですが、色素沈着はステロイド外用薬の副作用ではなく、皮膚の炎症が長く続いたことによるものです。
しかし、ステロイド外用薬を使用すると、皮膚が薄くなるなどの副作用が起こることがあります。当院では、患者様の状態に合わせてステロイド外用薬の強さを調整しています。また、ステロイド外用薬を使用することを不安に思われている方には、症状に合わせてステロイド以外のお薬を処方することも可能です。不安なこと、心配なことがございましたら、ご遠慮なくお尋ねください。
内服薬保険適用
- 免疫調整薬 オテズラ
- 免疫に関係する細胞に存在している酵素(PDE4)の働きを抑え、免疫のバランスを調整することで、炎症(痒み、赤み、腫れなど)を改善します。
- ビタミンA誘導体 チガソン
- 皮膚の新陳代謝を調節し、細胞が過剰に作られるのを抑制します。胎児に影響を与える恐れがあるため、内服中や内服を中止した後も男性は6ヵ月、女性は2年の避妊が必要です。
- 免疫抑制剤 ネオーラル
- 尋常性乾癬で過剰に働いている免疫機能を抑制する内服薬です。副作用として血圧上昇や腎臓障害などが起こることがあり、定期的な血圧測定や血液検査が必要です。
紫外線治療保険適用
- ナローバンドUVB
- ナローバンドUVBは、紫外線の一種であるUVBの中でも、さらに乾癬に効果が認められる波長のUVBだけを患部に照射するものです。副作用が少なく、高い治療効果が得られます。また、一度に照射できる範囲が広いため、広範囲の場合に多く用いられます。
- エキシマ光線療法セラビーム
- エキシマ光線療法セラビームは、紫外線の一種であるUVBの中でも308㎚という波長のみに限定したものです。308㎚という波長は、効率よく皮膚に届くので従来の紫外線治療よりも効果が得られやすいと言われています。また、照射範囲を狭く限定的にしているので、患部にピンポイントで照射できることもメリットです。
生物学的製剤
生物学的製剤は、生物が作り出すたんぱく質を応用して作られた薬で、注射や点滴として使用します。
乾癬の症状を引き起こすたんぱく質(サイトカイン)の働きを抑えることで、乾癬の炎症を抑制する効果があります。外用薬や内服薬などの治療で十分な効果がみられない場合に、生物学的製剤の使用が検討されます。生物学的製剤による治療は、安全性を考慮し、治療が承認された医療機関でしか受けることができません。当院では、生物学的製剤による治療はできませんが、大学病院などの適切な医療機関をご紹介できますので、ご希望の際は医師にお尋ねください。
料金
尋常性乾癬の治療は、診察・外用薬・内服薬・紫外線治療に保険が適応されます。
Q&A
- Q.尋常性乾癬は他の人にうつりますか?
- A.尋常性乾癬が他の人にうつることはありません。
- Q.治療を始めたらすぐに改善しますか?
- A.尋常性乾癬は慢性的に発疹等の症状が出ることが多い病気です。治療を始めても短期間では治りませんが、正しい治療を継続していれば、症状の出にくい状態にすることもできます。根気強くかんばりましょう。
- Q.症状が治まったら、治療をやめでもいいですか?
- A.処方したお薬をきちんと使うと、症状は治まっていきますが、治ったように見えても再び炎症を起こしやすい状態にあります。症状が落ち着いても、治療を継続することで症状を抑制した状態を長く維持することができます。定期的に受診し、良い皮膚の状態をキープしましょう。
- Q.悪化させないためにはどうしたら良いですか?
- A.悪化させないためには、普段からバランスのよい食事を心がけ、規則正しい生活を送ることが重要です。ストレスも乾癬を悪化させる原因になりますのでできるだけストレスのない生活を心がけましょう。また、皮膚を清潔にし、セラミド等の保湿剤を使用してスキンケアを続けることも大切です。
治療後のご注意
- ◎ 自己判断で治療を中止しないようにしてください。
定期的に受診していただくようお願いいたします。
ご予約・お問い合わせ
尋常性乾癬の受診はご予約不要です。
ご不明な点があればお電話か予約フォームにてお問い合わせ下さい。