ほくろ
ほくろとは
「ほくろ」は、正式には母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)、色素性母斑などと呼ばれます。メラニン色素を産生するメラニン細胞が変化した母斑細胞(ぼはんさいぼう)の増殖による皮膚良性腫瘍の一種です。 「ほくろ」は黒色や茶色の平らなもの、盛り上がったイボのような形態のもの、青く見えるものなど多様性があります。また、子供の頃は平らでも大人になると隆起してくることもあります。
ほくろの原因
ほくろには、先天性と後天性があります。
先天性のほくろ(生まれつきのほくろ)は、両親がほくろの多い体質であるとご本人もほくろができやすくなるなど遺伝的な要因が強いといわれています。
後天性のほくろは、紫外線からお肌を守っている色素細胞が異常を起こし黒くなることが原因で発生します。
色素細胞が異常を起こす原因として、紫外線・肌の摩擦・圧迫などがあげられます。紫外線を多く浴びると色素細胞が黒い色素(メラニン)を作り出します。少量のメラニンであれば、ターンオーバーにより外に排出できますが、紫外線を多く浴びた肌はターンオーバーが滞っていてメラニンを外に排出できなくなり、ほくろとなります。
また、下着の締め付けなどの肌の圧迫や洗顔時のゴシゴシと擦ったりする摩擦などは、その部分の細胞を傷つけてしまい、黒い色素(メラニン)の発生を引き起こす可能性があり、ほくろの原因となります。
さらにストレスや生活習慣の乱れ、妊娠・出産などのホルモンバランスがくずれて、肌のターンオーバーが正常にできなくなってしまい、それがほくろができる原因となることもあります。
ほくろの種類
一概にほくろと言っても色々な種類があり、自分での判断は困難です。ご本人がほくろだと思っていても、別の皮膚疾患であることや皮膚の悪性腫瘍を疑う場合もあります。
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1. 一般的なほくろ
一般的なほくろは母斑細胞母斑といいますが、深さ、増殖、メラニン色素の有無などによって、細かく分類されています。
- 1)境界母斑
- 表皮と真皮の境界部分に存在するほくろ。メラニン色素が多く、黒くて平坦なほくろが多いです。
- 2)複合母斑
- 表皮と真皮の境界部分から真皮の浅い部分にかけて存在するほくろ。
メラニン色素が多く、黒または茶色で隆起したほくろが多いです。 - 3)真皮内母斑
- 真皮内に存在するほくろ。メラニン色素が少なく、肌色や薄い茶色の隆起したほくろが多いです。
一般的なほくろには、こういった種類のほくろがあります。
- ・黒色や茶色の平らなほくろ
- ・黒色や茶色の隆起したほくろ
- ・毛が生えているほくろ
- ・顔にたくさんできるほくろ
- ・肌色の隆起したほくろ
- ・くちびるにできるほくろ
- ・頭皮にできるほくろ など
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2. 特殊なほくろ
一般的にはほくろと思われていないが、医学的にはほくろであるものをまとめました。
- 1)生まれつきの大きなほくろ(先天性色素性母斑)
- 生まれつきのほくろは大きなものが多く、ほくろの部分に毛が生えてくることもあります。ほくろというよりはアザとして認識されていることがあります。
- 2)爪にできるほくろ
- 爪にほくろができると、その部分の爪に縦の黒い線ができます。爪のほくろは良性のほくろが多いですが、まれに悪性黒色腫(癌)であることもありますので注意が必要です。
- 3)サットン母斑
- 黒いほくろの周囲の色が白く、色が抜けた状態になっているほくろ。
- 4)スピッツ母斑
- 複合母斑(良性のほくろ)の一種ですが短期間で成長しやすいので、悪性黒色腫(癌)との鑑別が必要になることもあります。
- 5)青色のほくろ(青色母斑)
- 真皮内でメラニン色素が増え、青黒い色に見えるほくろです。
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3. ほくろと似ている他の腫瘍
ほくろと似ているが、腫瘍であるものをまとめました。
- 1)脂漏性角化症
- 老人性イボ」や「老人性疣贅」と呼ばれ、光老化が原因で角質が厚くなり膨らんだ状態です。
- 2)基底細胞上皮腫
- 皮膚悪性腫瘍(皮膚癌)の一部です。黒い腫瘍なのでほくろと間違われやすく、放置すると大きくなり中央部がくぼんだり、変化を起こします。内臓への転移はまれですが、骨に影響を与えることがあるので、取り残しのないように完全に切除することが大切です。
- 3)悪性黒色腫(メラノーマ)
- 皮膚悪性腫瘍(皮膚癌)の中でも特に悪性度が高く、進行すると内臓に転移してしまうこともあります。日本人の場合は手のひらや足の裏、手足の指などにできることが多く、こういった部位にほくろができた場合には注意が必要です。この部位にできたほくろのすべてが悪性黒色腫(メラノーマ)というわけではありませんが、心配な場合は皮膚科専門医である当院にぜひご相談ください。
このように、ほくろだと思っていても種類は様々で、適応になる処置が変わったり、検査が必要な場合があります。
当院では検査が必要なほくろの処置や美容目的のほくろ除去など、様々なご要望に合わせたほくろ除去治療を行っております。心配なことがございましたら、いつでもご相談ください。
当院のほくろ除去
まずは診察でダーモスコピー(皮膚を見る拡大鏡)を使い、視診上の診断を行います。必要な場合には、ほくろのタイプや大きさによって、炭酸ガスレーザーもしくは縫合手術のどちらかを選択し、処置を行います。保険適応の場合は病理検査(顕微鏡を使った詳しい検査)を行います。
ほくろ除去の流れ
炭酸ガスレーザーを使用する場合
- 局所麻酔の注射を行います
- ほくろの表面をハサミなどで切り取ります。
- 皮膚に残っているほくろにレーザーをあてて削ります。
縫合手術の場合
- 局所麻酔の注射を行います。
- メスなどを用いて、ほくろ全体を切り取ります。
- 皮膚を縫合します。
ほくろ除去費用
保険適応(自己負担3割)の場合
10,800円 | 2㎝未満のほくろ1箇所を除去する場合、初診料もしくは再診料、検査費用込み |
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※価格は税込価格です。
自費の場合
1㎜あたり4,400円 | 初診料もしくは再診料が別途加算されます |
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※価格は税込価格です。
ほくろ除去のQ&A
- Q.その日に治療が可能ですか?
- A.基本的にその日に治療可能です。ご予約も必要ありません。ただし、ほくろのタイプや大きさによっては別日にご予約での処置とさせていただく場合もございます。
- Q.治療に痛みはありますか?
- A.局所麻酔の注射時にチクッとした痛みがあります。麻酔が効いた後の処置中には痛みはありません。麻酔の痛みが心配な方は、痛みを軽減する極細針(オプション1,000円)もご準備しております。また、治療後は痛み止めも処方いたしますので、痛みが苦手な方でも安心です。
- Q.ほくろ除去の時間はどのくらいかかりますか?
- A.炭酸ガスレーザー治療、縫合手術ともに、処置時間は約10分程度です。
- Q.治療後に処置が必要ですか?
- A.治療後は2週間程度、テープ保護を行っていただく必要があります。治療後に看護師がテープ保護の方法を詳しく説明いたしますので、ご安心ください。
- Q.治療後の来院は必要ですか?
- A.テープ保護の解除は医師が判断いたしますので、治療後の傷が治るまでは何度かご来院いただく必要があります。また、治療後は、傷の治りを良くする赤外線治療をおすすめしております。お時間に余裕のあるときはぜひお越し下さい。なお、保険適応の場合は、検査結果をお伝えしますので1週間後に必ずご来院ください。
- Q.ほくろが増える要因は何ですか
- A.ほくろが増える要因として、以下のようなものが挙げられます。
紫外線 ・・・
紫外線にあたると、肌を守るための黒い色素(メラニン)を作るメラノサイトが働きます。そのメラノサイトが異常に働くことや過剰にできたメラニンの排出が間に合わないことが要因で、ほくろが発生します。摩擦や圧迫など外部からの刺激 ・・・
皮膚に対する外部からの強い刺激があった場合にも、ほくろができることがあります。洗顔時に肌を強く擦ることや肌荒れをしているときのメイクなども要注意です。生活習慣やホルモンバランスの乱れ ・・・
日常生活でのストレスや、睡眠不足、偏食などの生活習慣の乱れ、妊娠、出産によってホルモンバランスが崩れることなどで肌のターンオーバーが正常にできなくなってしまうこともほくろができる原因となります。 - Q.ほくろ除去クリームは効果がありますか?
- A.医療機関でのほくろ除去がおすすめです。近年、ほくろ除去クリームを使用するというケースが見られますが、ほくろ除去クリームは日本国内で医薬品の承認をされたものではなく、なかには日本の安全基準を満たしていないものも含まれている恐れがあり、とても危険です。皮膚が化膿することや、火傷を負うなどの事例が多数報告されています。ほくろだと思っていたものが皮膚癌などの病気である可能性もあるためほくろの検査や除去は、必ず信頼できるクリニックで行ってください。
ほくろ治療後のご注意
- ◎ 最低1~2週間は軟膏とテープで保護を行ってください。
- ◎ 処置した当日は出血しやすい状態ですので体を温める行為はお控えください。
ほくろの予防法
ほくろの予防には、第一に紫外線対策が有効です。ほくろの原因でも記したように、ほくろは黒い色素(メラニン)によってできるので、日常的に日焼け止めを塗る、日傘をさす、帽子をかぶるなどの紫外線対策を行い、黒い色素(メラニン)を作らせないようにしましょう。
紫外線を多く浴びてしまった場合はビタミン注射や点滴、内服薬なども黒い色素(メラニン)を作らせないために有効です。
また、肌の圧迫や摩擦を避けることもほくろの予防につながります。ゴシゴシと洗うのは避け、たっぷりの泡でやさしく洗うほうがよいでしょう。
ご予約・お問い合わせ
ほくろの受診はご予約不要です。
ご不明な点があればお電話か予約フォームにてお問い合わせ下さい。